ワンポイント!


15.二学期、普通高校から音大声楽科を目指す受験生が留意しておきたいこと


 もう9月半ばですね。 音大声楽科の受験生はどんなことに気をつけて受験までの残り期間を過ごせ
 ばいいのでしょう? 特に普通高校(音高以外)から音大受験を目指していらっしゃる方は、音大受
 験に関する情報量 が少なくて困っているかと思います。
 そこで、普通高校で音楽を指導されているDiamond Voice Studioの倉藤先生に、この時期の注意
 事項をお話しして頂きました。

 菅)二学期になると学内に受験のムードが高まって来ますよね。

 倉藤)授業が復活すると一般教科などの勉強に時間を割かれ、時間がどうしても足りなくなります。
 音楽高校であれば、ソルフェージュや楽典など高校の授業のカリキュラム内で勉強できるのですが、
 普通高校ではこれらを授業外に取り組まないといけません。
 そこで、10分休みや昼休み(大抵45分)の時間にできることを探すとのもよいことだと思います。
 例えば楽典の問題をやってみるとか、調判定や音程など。1分野でよいです。
 これは非常に有効で、限られた時間で問題を解く練習にもなります。

 菅)何曜日の何時からは必ず楽典の勉強をする、と決めてしまうのも良いやり方ですね。ところで
 昼休みなどに練習ができる環境って、普通高校でもあるものでしょうか?

 倉藤)音楽高校では昼休みなどに練習室でピアノの練習をできたりしますが、普通高校では音楽室
 を借りるしかありません。
 私の場合、音楽室を受験生やピアノを弾きたい生徒に開放していますが、先生によっては音楽室の
 ピアノは触らせないとか、グランドはだめだがアップライトならOKなど、先生の考え方によって練
 習できる環境も変わります。事前に音楽科教員に相談してみることも必要かと思います。

 菅)受験に向けて、人前で演奏することにも慣れておくことが必要ですけど、普通高校の場合は特
 にそういう機会って少ないんじゃないかと。

 倉藤)おっしゃる通りです。人前で演奏すると言っても普通高校にいたら決して簡単ではありませ
 ん。 私の場合、受験生には必ず、試験の雰囲気に慣れるための練習をさせます。
 他教科の先生でも音楽の好きな先生や分かる先生は結構いらっしゃいますから、そういう先生方に
 試験官のように座ってもらい演奏する練習です。試験室への入室から、演奏までの一連の流れで練
 習すると結構戸惑う生徒が多いです。とてもいい練習です。
 様々なピアノで練習することも必要ですね。
 練習する環境にもよりますが、私が勤務している高校にはグランドピアノ一台とアップライトが二
 台あります。受験生にはこれらを全部弾かせます。アップライトで試験することはないと思います
 が、当日演奏するピアノのタッチはどんなものかわかりません。軽い、重いなどなど。調整が行き
 届いてないこともあります。
 特定のピアノにしか慣れていないと、とても演奏しにくく感じます。そのための練習です。

 菅)実技試験が行われる部屋の大きさなどに戸惑う受験生って、結構いらっしゃいますよね。

 倉藤)はい、私は高校で、受験生には可能な限りいろいろな部屋で歌ってみるよう指導しています。
 ピアノと同様、試験場の音の響きは様々です。練習より響く場合は楽に歌えると思いますが、響か
 ないと自分の調子が悪いと力んでしまったり、思うように演奏できない原因になります。
 ピアノが置いてなくてもいいので、様々な響きの部屋で声を出してみて、どんな部屋でも安定した
 歌い方ができるようになっておくことは大切ですね。

 菅)健康面について、特に受験生に伝えておきたいのはどんなことでしょうか?

 倉藤)多少体調が悪くても勉強することは可能なので、普通高校だと無理して登校してしまう傾向
 があります。このため風邪が蔓延しやすい環境かと思います。健康面での自己管理が特に大切だと
 思います。

 菅)教室に暖房がつくようになると、喉の乾燥にも注意が必要ですね。寒い季節には、自宅から外
 に出る際、暖かい家の中でマスクを着用してから外に出ることも心掛けてほしいです。寒い外気を
 急に吸い込まないように。
 そして最後にもう一つ。夏休みに頑張ってかなり伸びてもその後停滞する時期もあるかと思います。
 夏休みに試験曲の高音が決まってきたのに11月位になぜか決まらなくなることも。二学期は長いで
 すから。
 でもそもそも音楽の上達というのは、行きつ戻りつ、上下の波がありながら伸びていくものです。
 夏休みに頑張った方の中には、この時期に焦ることがあるかも知れません。停滞期もあわてず、落
 ち着いて練習を積んでいくことが大切だと思います。


taidan



14.「頭を開けて発声する」


  「頭を開けて発声する」―声楽の教育で昔からよく使われている表現です。「軟口蓋をねらって」
 などと表現される場合もあります。
 口腔(響鳴腔)を広げて発声することの比喩で、高音を綺麗に発声する時にも大切なことです。
 ところで「頭を開けて発声する」と言われても、初心者はなかなかそのイメージが掴みにくいかも
 知れません。
 私が初心者に発声を指導する際、時々使うのがこれ、「鼻笛」
 私が師事している先生から以前薦められたものです。
 
hanabue

  価格は数百円~せいぜい数千円で、ネットでも購入することができます。
  この「鼻笛」ですが、鼻に当てて息を鼻から出すことで笛を鳴らすもので、口腔を広げたり狭めた
 りしながら口腔を共鳴させることで、低音から高音までの音を発する仕組みです。

  低音~高音を出し分けるために自然と口腔を操作する方法を身につけるようになります。

   ただし人間の身体は一人ひとり異なり、この鼻笛を使った訓練方法が合わない人もいます。そこ
 が人の身体を楽器化する声楽の難しいところで、その人を見ながら場合によっては別の指導法を使
 ったりしています。



13.入試間近! 音大受験生が今すべきこと


   入試が迫ってきたこの時期、音大受験生はどんなことを心掛けたらよいのでしょう?
  東京音大講師でDiamond Voice Studiでも指導されている萩原みか先生とまとめてみました。
  風邪の季節でもあり、普段以上に健康に注意して過ごして頂くことはもちろんなのですが、案外、
 以下のようなことを見落としがちです。

 ■入学試験の願書提出にあたっては、演奏予定の作品番号や題名の書き間違いに注意。
  失格につながるので注意が必要です。思い込みではダメ、今一度確かめることが大切です。

 ■伴奏の先生が使う楽譜はきれいなものを提出するように。
  自分用に色々書き込んだ楽譜をコピーして提出するのはマナー違反でしょう。

 ■地方から出てきてビジネスホテルなどに宿泊する場合は加湿器が必須アイテム。
  ホテルで借りられるかどうか事前に確認が必要。
  なお、まれにホテルの管理が悪くて貸出してくれた加湿器臭う場合があります。
  ふだん家で使っている加湿器を持ち込むのが一番安心です。

 ■受験本番までに、出来れば少し広い会場で、かつ人前で1回でも歌ってみること。
  受験本番ではふだん練習している部屋よりも広い会場で歌うことになります。
  初めて広い会場で歌うと、狭い部屋で歌ってきたのと違って、自分の声が自分の耳に集まって
  聞こえないことから、普段以上に大きい声を出そうとしてどなってしまう失敗事例があります。

 ■受験本番で履く靴を履いて歌ってみることも必要。
  
靴が違うとずいぶんと身体感覚が変わります。

 ■受験本番では、普段練習していないことを急にやらないこと。
  受験曲に慣れてくると、それまで切っていた所を切らずに一息で歌ってしまおうとか、欲が出て
  くることがありますが、それはやってはいけません。
  ふだん練習を重ねてきた以外のことは出来ないもの、と心得るべきです。

 受験生の皆さんのご健闘をお祈りします。



12.体験こそが真の理解につながる


  前々回、「感覚に囚われずに定量的に捉えることの大切さ」をお伝えするために、実物大の紙飛行
 機の重さを計算して頂きました。
  それに続いて前回は「洗濯のしかた」のお話を通じて、「わからないということがどういうことなの 
 か」を体験して頂きました。

  さてようやく本題です。
 もし紙飛行機の話を挟むこともなく、いきなり「感覚に囚われずに数字で押さえることが大切ですよ」 
 とお話ししたら伝わったでしょうか?
  洗濯のしかたの話を挟むこともなく、いきなり「聞き手が持っている様々な記憶と結びつけることが
 出来てこそ、本当に理解してもらえるのですよ」とお話ししたら、伝わったでしょうか?

  聞き手にとって、納得感がまるで違いますよね。
  人間は自ら体験(疑似体験も含む)して自ら気づいてこそ、本当に深く納得することが出来るのです。
  最近社会人教育でよく「気づき」「腹落ち」という言い方を耳にしますが、まさにこのことを言って
 います。

  教育に携わる者は、一見回り道のようですが、出来る限りこのように生徒自らに体験させる(疑似
 体験も含む)を通じて気づいてもらい、腹落ちしてもらう労力を大切にしないといけない
と思ってい
 ます。

 前々回からの一連のお話は、今後教育者、指導者としても活躍する若い方々を対象として書かせてい
 ただきました。



11.わかるということ


  前回、紙飛行機の話を例に挙げて「感覚に囚われずに定量的に捉えることの大切さ」をお話ししま
 したが、 最後に「このお話には、じつはそれ以上に大切なことが含まれています。」と書かせて頂
 きました。
  ということで「それ以上に大切なこと」のお話をしないといけないのですが、その前にちょっとだ
 け寄り道をしておきたいと思います。
  少々長いですが、以下の文章を読んで何について書かれているものか考えてみてください。

  その手順はまったく簡単である。まず、ものをいくつかのグループに分ける。もちろんひとまとめ
 でもよいが、それはやらなければならないものの量による。もし設備がないためどこか別の場所に行
 かなければならない場合には、それが次の段階となる。そうでない場合は、準備はかなりよく整った
 ことになる。重要なことはやりすぎないことだ。すなわち一度に多くやりすぎるよりも少なすぎる方
 がよい。このことの重要性はすぐにはわからないかもしれないが、面倒なことがすぐに起こりやすい
 のだ。その上、失敗は高価なものにつく。最初は、その全体の手順は複雑に思えるかもしれない。し
 かし、すぐにそれは生活のほんの一部になるだろう。近い将来この仕事の必要性がなくなるとは予想
 しにくいが、誰も何とも言えない。その手順がすべて終わったあとで、ものを 再びいくつかのグルー
 プに分けて整理する。次にそれらは適当な場所にしまわれる。結局、それらは再び使用され、その全
 体のサイクルは繰り返されることになる。ともかく、それは生活の一部なのである。
 
                    (ブランスフォード・ジョンソン、戸田他訳、1986)


 さて、何について書かれているものか分かったでしょうか。 おそらく理解できた方は少ないと思いま 
 す。(続き⇒ 下のサムネイルをクリック)

 





10.本物の飛行機と実物大の紙飛行機、どちらが重いか?


  飛行機に乗る時いつも感じるのですが、本物の飛行機って金属の塊でいかにも頑丈そうで、これ  
 でよく空中に浮き上がるな~とか思いますよね。紙で作った同じサイズの飛行機より軽いワケがな
 いと思いませんか?
 本当にそうでしょうか?

  では、ボーイング777-300を例に挙げて確認してみましょう。
 航空会社のサイトで調べると、この飛行機は全長73.8m、全幅60.9m、全高18.5m、機体重量 
 157t。
 一方、写真の紙飛行機はコピー用紙で作ったもので、全長14.8cm、全幅12.2cm、全高3.7cm。
 ちょうどボーイング777-300の1/500サイズです。
 一枚4gのA4コピー用紙を10%カットした紙で作ったので、重量は3.6g。
 
hikouki

  さて、ここからは皆さんも一緒に検算してみてください。
 これを仮に500倍サイズの巨大な紙(縦、横、厚さ500倍)で作ったとすると、その紙飛行機は、
        3.6g×500×500×500=450,000,000g=450t
 になります。どうでしょう、ボーイング777-300よりはるかに重くなります。

  感覚だけに囚われていると、大きく判断を誤る可能性があります。数字で定量的に捉えること
 って大切ですね。


  さて今回、「感覚に囚われずに定量的に捉えることの大切さ」をお話しさせて頂きましたが、
 このお話には、じつはそれ以上に大切なことが含まれています。
 それについては、近々またお話しさせていただきます。



9.インターネットの時代に求められる力


   インターネットが広く普及した現代は、誰もが情報発信者になれる時代です。その分野の専門的
 な知識や経験を持っていてもいなくても、そこは平等に。
  それ自体は悪いことではないのですが、結果としてとんでもない間違った情報が面白おかしく拡
 散されていってしまうことも少なくありません。
  このような時代に生きる私たちに求められるのは、玉石混淆の情報の洪水の中から正しい情報、
 自分にとって本当に有益な情報をかぎ分ける、情報選別能力
でしょう。

  かぎ分けるための一つの着眼点は「記述に定量的な視点があるかどうか」。
 例えばネットでよく見かける「絶対に食べてはいけない食品」。一見科学的に食品のリスクを訴え
 ているようでも、よく読むと定量的に考えられていないものが少なくありません。実際に人体に害
 を及ぼすためには、あり得ないほどの量を長期摂取することが前提条件になっていることも。
 
  このような「情報の選別能力」は「物事を論理的に組み立てる力」の一種でもあり、学生時代に
 培っていかなければならない基礎能力の一つにほかなりません。
  そのために大切なことはやはり様々なジャンルの読書でしょう。様々な分野のプロの著作物から
 論理展開のしかたを学ぶこと
は、大変勉強になります。

 音大生といえども、習得すべきは演奏技術だけではありません。



8.桜の季節に考えること


   ~ 4月から社会人としての一歩を踏み出す門下卒業生の皆さんに向けて ~

  東京は桜の季節になりました。桜って、咲いている期間がほんと短いですよね。
 もし品種改良に成功して、3か月くらい咲き続ける桜を作れたとしたら、さてその新種の桜、売れる
 でしょうかね?

 演奏とは直接関係ないですが、これが本日のテーマです。

 おそらく、多くの方はこう考えてしまうのではsakura
 ないでしょうか?
 「桜はわずか1週間くらいの命だから良いので
  あって、長々と咲いていては、桜らしさ、季
  節感がなくなってしまう。だから、そんな桜
  は売れない」
 と。いかがでしょうか?






  じつは、これこそが「既存の価値観に凝り固まった考え方」なのかも知れません。
 もしかしたら、市場はそれを受け入れるかもしれないのに、既存の価値観に凝り固まって、自ら可能
 性を閉ざしてしまう、
ということ。
 
 先ほどの問いに関しては、「売れる可能性がある」のほうが良い回答でしょう。

 でも、さらに良い回答があります。それは例えば、
 「売れるか売れないかを考えている時間があったら、直ぐに街に出て、歩いているひと100人に意見
  を聞いてみて、その結果で判断する」
 です。
 
 「迅速にデータを取って、それに基づいて判断しながらビジネスを進める」、この考え方は、これ
 からの社会でますます大切になってきます。


 これが4月から社会人としての一歩を踏み出す門下卒業生の皆さんに今日、お伝えしたかったことで
 すが、同時に指導にあたる教員側も心に留めておくべきことだと思っています。




7.このポーズが不自然なのは


   ~ 声楽を学ばれている学部生、大学院生の皆さんへ ~

  これは、ある商品カタログに載っていた写真です。
 女性のインストラクタさんが男性に何かサジェスチョンをしているシーンなのでしょうか、でもなん
 だかすごく不自然なポーズですね。
pose
 では何が悪くてこんな不自然なポー
 ズになってしまうのでしょう?
 自然なポーズをとるためにはどうす
 れば良かったのでしょうか?

 ・・・これが今回のテーマです。






 このモデルさんのポーズが不自然なのは、初めからこのポーズで静止して写真を撮っているだけで、
 <このポーズに至るまでの感情作り>が出来ていないからでしょう。

 前段となる動作、たとえば実際に男性に話しかけながらこのポーズに繋げていけば、もっと活き活き
 とした姿
になるはずです。

 じつは、歌の場合も同じことが言えます。
 歌いながら歌詞を思い浮かべて感情表現することは基本ですが、一歩進めて、歌詞の内容を思い浮か
 べてからブレスをして歌い出す
ことで、聴き手によりしっかり伝わる演奏となるものです。



6.譜読みを速くするには


   譜読みが速くなると、どんな良いことがあるのでしょうか。

 ・学生時代においては;
    人より速く譜が読めると、人より早く音楽を掘り下げることができます。1曲1曲の消化スピードが
  速いことで、新しい曲にどんどん挑戦できる
のです。これは長い間に大きな差になります。

 ・プロの演奏家になってからは;楽譜
  演奏経験の浅いうちは、演奏会の仕事の一つ一つ
  が、自分にとって初めての演奏であることが多い
  
ので、当然、譜読みの速さが必要となります。
  ある程度演奏経験を重ねてからも、新作の初演
  もなると当然のこと音源なんてありませんので、
  やはり譜読みの速さがモノをいいます。


 では、譜読みというのは鍛練によって速くなるもの
 なのでしょうか?
 じつは、鍛練を続けていくことで速くなります。

  最初は音源を聴きながらの耳コピーでも良いのですが、とにかく必ず自分でピアノの鍵盤をたたいて  
 明確な音に
しながら覚えていくことです。

 その際に注意したいのは、特定の歌手の音源だけを聴くと、知らず知らず、その歌手の歌いグセまでを
 真似てしまうので、そうならないよう必ず何人かの音源を聴くこと、そして音源の中には、例えばフラ
 ンス語の曲ならフランス語を母国語とする歌手を必ず入れる
ことが大切です。



5.実力の伸びる時期・伸びない時期


   身体を楽器化する声楽では誰にも、実力がすごく伸びる時期と、努力をしていてもなかなか伸びない
 時期
があるものです。
  伸びる時期というのは、身体、声帯の成熟度合いにも依存するもので、それがいつなのかというと、
 人によってじつに様々です。

 でも、なかなか伸びない時期も、大きく躍進するためのステップとなる大切な時期なのです。
 ですから、とにかくいつもコンスタントに努力を続けて欲しいと思います。
 そうしたら皆さんそれぞれ、大きく花開いていくことと思います。

 そして、コンスタントに続けていくために何よりも大切なのが、心身と喉の健康です。健康に気をつけ
 て頑張っていきましょう。



4.コンクール応募時は演奏時間に注意

 
 ~ 今後、コンクールに挑戦される皆さんへ ~

   今年も様々なコンクールのエントリーが始まります。
 コンクールで大切なのに意外と忘れがちなのが、演奏時間(規定時間)の考え方。規定時間を超えると  
 、それまでどんなに素晴らしい演奏をしていても、演奏終了の合図が鳴り響きます。
  例えば「アリア2曲、演奏時間10分以内」というコンクール規定だったとします。演奏したい曲が、 
 ちょっと歌ってみたところ前奏も含めて1曲目3分、2曲目 6分50秒、計9分50秒でした。さて、
 大丈夫でしょうか?
  この選曲、じつはまずアウトです。なぜでしょう?

  まず、曲間の時間の考慮が抜けています。曲間も演奏時間のうち。ふつう10秒位はかかります。

  また開始時間も、コンクールによっては最初の前奏の音出しからだったりしますが、別のコンクール
 ではステージに1歩足を踏み入れた時点から計られる場合があります。そうなると歩いてきて礼をする
 時間まで
必要です。

  そして一番見落としがちなのが、「ちょっと歌ってみて9分50秒だった」という点。貴方がコンク 
 ールに向けてこの2曲の練習を重ねて行くと、おそらく9分50秒では終わらなくなります。上達する
 につれて、より難易度の高いカデンツァなどを入れたくなったり、高音が長く伸ばせるようになってい
 って、結果として長くなってしまう
ことが多いのです。

  これらの要素をしっかり考慮して選曲する必要があるのです。
 そして、コンクールの1週間くらい前に、本番で伴奏をお願いするピアニストにお願いして、最終的な
 時間をもう一度計ってみる
ことです。

  ここではあくまでも一般的な注意事項を書いてみました。詳細は個々のコンクールの事務局に確認
 する必要があります。




3.ステージでは前髪は上げるのがお薦め

 ~ 今後、演奏会を経験される皆さんへ ~

   演奏会のステージやコンクールなど審査の場では、女性は前髪を上げて額(おでこ)を出したヘアスタ 
 イルが基本的にはお薦め
です。なぜなら客席から表情がはっきりと見えるから。
 前髪を下ろすと眼で表情を作っても見えづらいですし、ステージ天井の照明で顔に髪の毛の影が出来て  
 しまう場合すらあります。写真は悪い例です、これではいけませんよね↓
前髪
  ところで、なかには「自分は前髪を上げたヘアスタイルが似合  
 わない」と思っている方もいらっしゃるかも知れません。
 ひと言で「前髪を上げる」といっても、色々とやり方があるので 
 す。詳しくは声楽実技レッスンの際などにお話しできれば、と思  
 います。















2.ロングドレスでステージに上がる際に気をつけたいこと

 ~ 今後、演奏会を経験される皆さんへ ~

   ロングドレスでステージ(舞台)に上がる際の注意として、
  ・正しい姿勢で歩きましょう
  ・ドレスの裾を自分の足で踏まないよう、裾の前側を指で摘まんで少し持ち上げて歩きましょう
 ということはよく言われていますね。

  じつは、もう一つ気をつけたいことがあります。それは・・・
 演奏会ではソリストは普通、舞台下手(しもて:観客席から舞台に向かって左側)から舞台入りします   
 ね。その際、「ドレスの裾は左手で持ち上げて歩くようにする」ということです。

  なぜ右手ではなく左手なのでしょうか?
 舞台下手から歩いてくる時、右手は観客席側です。ですから右手でドレスの裾を持ち上げると、観客席
 からパニエ(※)が見えてしまう
ことがあるのです。
 上手(かみて)から舞台入りする時は、逆に右手でドレスの裾を持ち上げるようにします。

  ちょっとしたことですが、貴方のエレガントなロングドレス姿を台無しにしてしまわないために、と  
 ても大切なことなのです。

  ※パニエ:スカートを美しい形に膨らませるため、その下に着用するアンダースカート




1.舞台演技のポイントは「大きく、全身で」 

 ~ 今後、舞台演技を学ぶ皆さんへ ~

 毎年、学生のオペラ実習で必ず指導していることに「大きく、全身で演技することの大切さ」があります。そのことについて少し書いてみたいと思います。

 テレビドラマや映画における演技の場合は、絶妙なカメラワークで俳優の表情をアップで捉え、視聴者や観客に見せてくれます。

 しかしオペラや演劇の舞台の場合はどうでしょうか。オペラや演劇が行われるホールは、数百から場合によっては2千以上の客席があります。観客は遠く離れた席から、カメラの眼を通さず直(じか)に舞台を眺めているのです。貴方がいくら一生懸命に表情を作っても、それだけでは観客に伝わりません。そういう舞台で、観客にしっかり伝わる演技をするためには、どうしたら良いのでしょう?

 じつは人の目には<動いているものを追いかける>という習性があります。大きく動くことで観客の視線を引きつけながら、全身を使って演技をすることが大切なのです。
 例えば、深い悲しみを表現したい場合、ただ表情を暗くしてうつむくだけではダメです。この場合、「息を1回吸ってから、深く吐く」という一連の動作をすることで、観客に感情を伝えることができます。常に「観客からどう見えているか」、観客目線で演技を考えていかないといけません。

 これは基本的な考え方の1例です。これ以上のことはなかなか文章で表現することが難しいです。「舞台基礎演技法」や「オペラ実習」の授業の中で一緒に勉強してまいりましょう。











※菅有実子Facebookページにも掲載しています。  
よろしければ「いいね!」をお願い
します。  

ページのトップへ戻る